• カート

バードが割れたらどーやって直す?

スコープで扱う数多くのガラス製品。
なかでもバードやポムポムなどの
ガラス製アートピースはぜひとも飾って愛でたい。
故に細心の注意を払っていても
何かにぶつけて割れちゃったり、
パーツがぽろっと取れちゃったり、
突如「悲しみよこんにちは」してしまう
なんてこと、あると思います。

不意にやってきた悲しみと仲良くなるため
今回はスコープ修理部門担当おしぼりの体験を交え
オイバのバードやポムポムなどガラス製品の破損、
取れたパーツの修復に使える接着剤と
直し方についてまとめてみました。


もくじ

・ 接着、その前に!
・おすすめ其1 エポキシ系接着剤
 メリット、デメリット
・おすすめ其2 紫外線硬化型接着剤
 メリット、デメリット
・まとめ

【 p.s.おしぼり 】その他の接着剤について


接着、その前に!

割れた時、悲しみのあまりペタペタと
触りまくったと思いますので、
まずはガラスに付いた汚れや
指紋をクリーニングします。
アルコールがあればソーナイス。
断面は余計な油分や汚れがあると
接着強度に影響しちゃうのでしっかり拭き取ります。
作業中も素手で触ってしまったら
接着前に拭き取りましょう。
特にガラスの内側部分の汚れは
接着後に拭くことができないので要チェック。
どのような直し方をするにしても
ガラスのクリーニングはやらないより
やったほうが間違いないです。

割れたガラスの断面は切れ味鋭い荒くれもの。
ケガをしないよう十分注意しながら拭いてくだされ。

割れたパーツは元の向きが分からなくなりがち。
特に破損したかけらが多い場合は
難解なパズルになるので、
この段階で元通りの位置や向き、
割れたかけら同士を先に接着してから
本体に接着するなど、貼りつけ手順の
シミュレーションが大切です。
きれいな仕上げを目指すなら、
慌てて手を付けず、ここは石橋をたたきまくって
慎重に進めましょう!

おすすめ其1
エポキシ系接着剤

エポキシとは樹脂が固まることでくっつく接着剤。
聞きなれないエポキシという言葉、
実はパッケージにでかでかと
書かれているわけではありません。
裏書の成分に「エポキシ」の文字、
用途に「ガラス」の文字。
使い方に「二液を混ぜる」云々と
書いてあるものを選びましょう。
エポキシにも種類があるので
ガラスに対応したものを選べば
透明タイプになるので間違いないです 。
いっぱいあって分からなかったら
店員さんに聞くのがベスト。
ちなみに僕がよく使っているのは
セメダインかコニシのエポキシです。

左がセメダインの5分型エポキシ。
右がコニシの90分型エポキシ。
パッケージにエポキシって書いてあればいいのにね。

エポキシ系の接着剤は
5分とか30分とか90分とか
パッケージに時間が書かれています。
これは硬化が始まる時間の目安で、
作業時間に応じて用意されたバリエーション。
ポムポムなどのパーツが取れちゃったくらいの
修理であれば5分タイプで十分。
硬化時間が早いほど
急いで作業する必要があります。
破損が複雑で慌てず直したい場合は
より硬化時間の長いタイプをチョイス。

二液を同量出して混ぜ混ぜ。よーくかき混ぜます。

エポキシ系の接着剤は基本的に
主剤と硬化剤の二液を混ぜて使います。
混合比は同体積で混ぜるタイプが一般的。
エポキシは固まってからも肉痩せしにくい
(体積が減りにくい)ので隙間ができにくく、
強い接着が期待できます。
なんなら多少の欠損箇所も埋まります。
「混ぜるとかめんどくさいんですけどー。」
って場合は、二液を混合しながら
押し出して混合液が一つのノズルからでてくる
ロックタイトの
「クイックミックス」というのもあります。
今回はこちらも試してみました。

なんか洒落た感じ。手が汚れなくていいですが
硬化開始まで3分なので時間との勝負。
使うとノズルが固まるのでチャンスは2回。

エポキシは正しい混合比にすることが強度に
影響するのでクイックミックスの方が
失敗が少ないかもですが、
割高になるので僕は自分で混ぜる派です。

割れた断面にぬりぬり。内部も割れちゃって状態は
良くないですがくっつけばそんなに目立たないはず。
折れやすい場所筆頭のくちばし。
クイックミックスは二液がノズル先端から混合されて出てくる優れもの。
透明で気泡も入りにくいのが利点。不透明だと関係ないけれども。

どちらも割れた断面に混合した
接着剤を塗布して貼り合わせ。
マスキングテープなどで直接止めて
固定しましょう。
場合によっては接着剤の上から
貼っちゃっても大丈夫です。
ただ、固定中に接着面が
ずれないようにだけご注意を。
ずれていてもそのまま固まるくらい強力なので
固まり出したら修正がききません。

マステがギプスみたいなもんです。
クイックミックスが余っちゃうので
ついでにポムポムのお玉さんも修理。

貼り合わせると十中八九接着剤がはみ出ます。
気になるのでさっさと拭きとりたくなりますが
ここはじっとガマン。
そのまま固まるのを待ちましょう。
硬化前のエポキシは粘度が高すぎて
うかつに拭き取ると地獄絵図と化します。

硬化して最終強度に達する時間はそれぞれの
パッケージの裏書を参考に。
丸一日置いとけばほぼOKです。

ガラスを接着した場合、
はみ出た接着剤は硬化後カッターで
コリコリすると簡単に削り取れるので
表面へのはみ出しは気にしなくて大丈夫。
ただ、手の届かない内側へのはみ出すと
硬化後に削り取ることが不可能。
この辺がテクを必要とする
ちょいムズポイントでして、
接着材を割れた断面の表面側に塗り、
なるべく内側にはみ出ないように
工夫してみてください。

見栄えを気にしないのであれば少しはみ出たままのほうが
強度が上がるので目立たなければ無理に削らなくてもOKです。
カッターで削ってもガラスに傷はつかないのでその辺はご安心を。
ほれほれ、ちゃんとくっついてます。
実験的にやってますのでマネしちゃだめよ。

エポキシ系接着剤の硬化後は
かなりの強度が期待できます。
接着面積が少ない部分に折るような力を
加えるとさすがに剥がれてしまいますが、
無理に力をかけなければ大丈夫というのが
僕の感想です。
実はこのバードの接着部の強度を調べたくて
折るように力を入れてみたところ
今度はくちばしの別の部分が折れました。
マヂか・・・。
でも身をもって接着力の高さを証明できたから
良しとしましょう。

エポキシは長期間紫外線にあたり続けると
劣化して黄色っぽくなるそうです。
とは言っても基本室内に置くものだから
個人的には特に問題ないと思ってます。
術後の子に無茶させるのが心配な場合は
常に日の当たるところを避けると良いでしょう。

メリット
・強力に接着
・近所のホームセンターで入手できて安価
・比較的小さな接着面でも接着できる
・不透明ガラスも接着可

デメリット
・混ぜる際空気が混ざり細かい気泡が入ると透明度が落ちる
・隙間のないヒビ割れは修復できない
・長期間紫外線にさらされると黄色っぽくなるらしい

おすすめ其2
紫外線硬化型接着剤

UVライトをあてて硬化する接着剤。
こちらも樹脂が固まることでくっつく接着剤です。
使う際は接着剤に加え
UVライトを用意する必要があります。
接着剤は透明なものを選べば
断面の仕上がりがとてもきれい。
ただ、ガラス専用の接着剤と
UVライトもホムセンでは手に入りにくいので
ここはネットの力を借ります。

検索するといくつかヒットしますが
ガラス用で修復に適した粘度で透明度があり、
できれば低価格のものという
わがままな条件で探した結果、
最終的に「ウルトラUVグルー」という
接着剤にたどり着きました。
この製品は限られたサイトでしか
売っていないようです。

https://www.glass-craft.shop/product-list/28

探せば他もあるかもしれませんが自腹で買ったのでブランド決め打ち。

ガラス工芸の専門店さんのオリジナル。
アクリル系で接着剤の透明度が高いのが魅力で
接着面がとてもきれいに仕上がります。
ウルトラUVグルーは粘度が2種類。
とろっとした中粘度のAタイプは
流れ落ちにくいので作業性よく、
さらっとした低粘度のBタイプは
ヒビ割れに浸透させたいときに有効です。

ウルトラUVグルーは
300~380nmの波長の紫外線を当てると
硬化するので、その範囲内の波長のUVライトを
検索して365nmのものを Amazonで購入。
値段はピンキリです。
僕は2000円ぐらいのライトを選びました。
試しにスタッフから借りたネイル用の
UVライトを当ててみたところ
波長が範囲外なのか、
結果いくらやっても硬化せず。
UVライトならなんでもいいわけではなさそう。
対応する波長はかならずチェックしてから
購入しましょう。

またUVで硬化させる性質上、
紫外線が届く透明度の高いガラスしか
接着できません。
不透明のガラスは紫外線が奥まで届かないので
こちらはエポキシで修理しましょう。

底の抜け脱線オウル。

エポキシ同様、破損したガラスの断面に
接着剤を塗布して貼り合わせます。
接着剤の余分なはみだしを防ぐため
塗りすぎないよう薄っすらとまんべんなく
塗るようにしてください。
UVライトをあてなければ硬化しないので
作業は 落ち着いてできます。
はみ出してしまった接着剤は固まれば
カッターで削り取れるので
一旦はそのままでOKです。
手の届かない内側にはみ出た場合は
残念ながら諦めるしかないです。

まず分割した破片を接着。素手でやらないほうが安全です。
本体とくっつけてさらにUVライトを当てます。
ズレなく止めるにはまだまだ修業が必要と悟る。
あんまきれいじゃなくてごめん。

ずれないように貼り合わせてから
UVライトを当てます。
しばらくしてはみ出した接着剤の表面に
シワが寄ったような感じになったら
固まり始めた合図。
手を放しても大丈夫な状態にますが
しっかりとくっつけるためには
数分~数十分間、接着剤を塗った部分に
ゆっくりとまんべんなく
光を当て続けてください。
もちろんマスキングで固定してもよいですが
光が当てにくくなるので一部が固まったら
マスキングをずらしてマスキングしていた
箇所にもしっかりと光を当てる必要があります。
硬化した表面は若干べたつきが残りますが、
これは布で拭きとれます。

メーカーに確認したところ
太陽光でも硬化するとのことでしたが
硬化までかなり時間がかかるそうなので
作業の際は太陽を当てにせず
直射日光の当たらない場所で
UVライトを使用するのが確実です。

左オウル:右目の真下に長く伸びたヒビを修復
右ポムポム:斜めに半周パックリ割れたものを修復
きれいに割れてる場合は仕上がりもきれいですが
スジは残っちゃいます。

この接着剤は広い面が貼り合わさると
強度が増す傾向にあります。
パックリときれいに割れたガラス断面を
接着すると剥がれそうな気配すらありません。
逆に接着面が小さい場合はくっつきはするけど
強度はそれほど期待できません。
点より面の接着に適している印象です。

左上:中央の横に黒く見えてるのがヒビの断面
右上:低粘度Bの接着剤をヒビに沿って塗ります
左下:ヒビに浸透します。低粘度なので垂れますが拭けばとれます
右:黒っぽい部分が消えたらUV照射!
表面のヒビの筋は残りますが、角度によって
黒く見えていたヒビの断面が接着剤を載せた所だけ
ほぼ消えているのがわかると思います。

ヒビは低粘度タイプを使い
ヒビの筋をなぞるように塗ると
浸透していきますので、筋にUVライトを
当てて硬化させます。
ヒビがくっついたかどうか
見た目じゃよくわからないので
軽く指で弾いて音で判断します。
修正前は「コンコン」と鈍く低い音だったのが
修正後は「キンキン」とまではいかないものの
もう少し高い音に変わります。
やってみると違いが分かりますので
中島誠之助になりきって確かめてみてください。

表面に現れたヒビの筋は残るものの
ヒビの断面は見る角度によって
わからなくなるくらいに修復できます。
接着剤が浸透できないほどの小さなヒビは
直せない場合もありますが
ヒビに関しては全く直せないと思っていたので
これは今回試してみて一番の発見でした。

メリット
・割れた面同士を強力に接着
・透明度が高く断面の仕上がりがきれい
・低粘度の接着剤はヒビにも浸透し接着可能

デメリット
・近所で手に入りにくく高価
・エポキシほど強力ではない
・UVライトの購入が必要で出費増
・面積の小さい箇所の接着は苦手
・不透明のガラスは接着できない

まとめ

入手のしやすさと強度や汎用性を考えると
確実にエポキシ系接着剤に軍配が上がります。
紫外線硬化型はちょっとハードル高めですが、
透明度が高く気泡も入りにくいので
細かい作業が苦手じゃなかったら
ぜひ一度試して欲しい接着方法です。

割れたガラスの修復は
元通りにするのは難しいですが
直し方一つで、飾るのに問題ない程度から
場所によってはよく見なければ
わからないくらいの修復は可能です。
個人的な感想ですが、修復後は
なんかふっ切れるとでも言いましょうか
断然気軽に飾れるようになります。

「壊れたおかげで直し方を覚えられる!」
そんなぺこぱ的発想で前向きになれる方。
壊れたガラスたちに
ぜひ第二の人生を歩ませてあげてください。
ちなみに今回の修復は食器や
常に水に触れるものには向きませんので
飾るもの限定でお試しを〜。


【 p.s.おしぼり 】
他の接着剤について

最近100円ショップでもよく見かける
クラフト用UVレジン。
UVライトを使う点では紫外線硬化型と
一緒ですが接着剤として販売されていないので
候補から外しています。

ホームセンターの接着剤売り場を眺めると
他にもガラスに使える接着剤があります。
例えば一液型変性シリコーン接着剤。
なかなか良さそうですが
エポキシほどの強度がないとの情報を
目にしたのでまだガラス接着には
使ったことがありません。

同じく一液で使えるガラス用
瞬間接着剤もあります。
実は修復においては
早くくっつきすぎるのも作業性が悪い。
さらに裏書を見ると白化して
困るものには使わないように
書かれていたのでこれも外しました。
でも一液で使えるという扱いやすさは魅力。
これらはまたの機会にテストしたいと思います。

あと絶対に避けて欲しい
ダメ。ゼッタイ。筆頭なのが
一般的な瞬間接着剤。
バイクのタイヤが柱にくっついたり、
ショベルカーが鉄棒しちゃったり、
アロンアルファの強烈なコマーシャルが
脳裏に焼き付いて、
瞬間接着剤ならなんでもくっつくと
錯覚している僕みたいな人。
たくさんいると思います。

瞬間接着剤にはいろんな場面で
大変お世話になったのですが 、
CMの「なんでもくっつく神話」にとらわれ、
数々の失敗も経験。
その結果、いくら瞬間接着剤でも
用途に表示されているものしか
くっつかないと悟りました。

パッケージを捨てちゃった瞬間接着剤が
冷蔵庫のポケットの隅っこに入ってたりすると
用途も確認せず使っちゃって
失敗するなんてことも多々あり。
アロンあるあるです。

冷蔵庫の中で後生大事にとってある瞬間接着剤。
一般的なタイプはどれもガラスには使えないです。

無敵と信じて疑わない瞬間接着剤ですが、
数少ない苦手な素材の一つがガラス。
金属がくっつくならガラスも
くっつきそうな気がしますが、ダメなんです。

例えばバードの折れた尾や
ポムポムのお玉さんをくっつけてみると
一見くっついたかのように見えて、
ちょっとした衝撃でポロっと剥がれ落ちます。
瞬間接着剤信者はゼリー状とか
特殊なタイプならいけるかもと思うのですが
残念ながらそれも無理です。
アロンアルファの場合はホームページにも
ガラスは苦手と書いてありました。
接着した周りも白化して
あちゃ~な二次被害も発生しちゃうので
瞬間接着剤系はとりあえずでも
使わない方向で!願います。

text:スコープ おしぼり