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特別であることが大事なのだ

アラビア パラティッシ

北欧食器といえば?アラビアのバレンシア、ティーマ等があがりそうですが、一部の通な人は、えっ、ティーマ?キルタでしょ、なんて事を仰りそうでもありますけれど、僕はここで敢えて、敢えてでもないか、敢えてでもないのだけれど、ももクロのパラティッシじゃない、モノクロのパラティッシをあげたい。それもメインプレートとして最も選ばれる丸皿21cmではなく、オーバルプレート25cm、これが抜群によいです。プレートで25cmと聞けば何だか少し大き過ぎじゃないかしら?と思われる方も多いでしょうが、イヤイヤ実際に使えばそんな事は全くないのです。25cmといってもオーバル型なので実際には23cmぐらいの使用感でありまして、メインプレートに一番向いた丸皿サイズは23cmだって、僕は常に思いますから、そのオーバルプレート25cmというのは実に使い良いサイズなのです。洒落たワンプレートの朝食にも、カレーやパスタを盛ってもいい。深さもあるから料理に汁気があっても使えます。更には料理をドンと盛りつけ、センターピースとして使う。みんなでシェアするようなパーティーにも使えます。とにかく多様な今を生きるヤッパニライネン(フィンランド語で日本人)の生活には、これ程ジャストミートな食器はないと、僕はそう思うのです。子供が巣立つ時に渡す食器は、もうコレっきゃない。とりあえず、これがあれば何とでもなるでしょう。そして更には、これがオリジナルなのです。いやスコープがオリジナルでオーダーした形という意味ではなく、元々がこの形なのです。ここで少しだけタイムベルトを巻き付けて過去へ遡りましょう。僕はフィンランドへよく行きます。通算で20回近く訪れていますから、現地に知人がいまして、お宅によんでもらった事もあります。その時のことです。食卓には普段から見慣れたアラビアのパラティッシプレートが並んいた。そう、いたのだけれど、チョイと近寄って見ると、僕が愛用するプレートとは少々様相が違うではありませんか。よく見れば形が楕円だったのです。その雰囲気はどこか上品で、特別なものを感じました。ぬぬぬ?これはイッタイ。その頃の僕は、アラビアのヴィンテージに明るい訳でもなかったので、パラティッシにオーバル型があるなんて事すら知らなかった。それから詳しく調べてみれば、僕らの愛用するパラティッシは1968年の発売当時、全て楕円だったらしい。その頃、僕は生まれていないし、フィンランド人でもないから実際に見た訳ではないのだけれど、パラティッシはどれも楕円だったのだ。1974年に生産終了となるまでの約6年間は楕円だったのだ。こういう事を書くと、チョットチョットそれ違いますよ、カップ&ソーサーは楕円じゃないですよ!と、重箱の隅をつつくような方がいるのだけれども、それはその通りです。カップ&ソーサーは丸かった、地球も丸かった。でも、それ以外は楕円だった。ボウルも微妙に楕円だった。丸に近い微妙な楕円具合がたまらなかった。そして1988年にパラティッシは再生産となりますが、形は楕円から丸へと変更されます。で、現在に至る。メデタシメデタシ、じゃない。何故、変更されたのかといえば、楕円より丸の方が、圧倒的に生産効率が良いからでしょう。丸でも楕円でも使い勝手にそう違いもないだろうヨ。それなら効率的に作れる丸でいいじゃないヨ。それで生産効率が飛躍的に上がり、価格もお手頃になり、多くの人が日々使える食器になるのなら素晴らしいじゃないヨ。その変更は間違いではないと思う。だからデザイナーも、その変更を了承したのでしょうし。ただ、パラティッシはパーティー用の特別な食器としてデザインされた物なのです。形もどこか特別でないといけない。楕円であり、蓋つきの物は蓋も高くなっていた。だから当時のフィンランドの人々はパーティーで使おう、特別な日に使いたい、そう思い、凄く高い食器なのだけれど、頑張って揃えようと少しづつ買い足し、プレゼントに贈りあい、時間をかけてコツコツ集めた。だから40年以上前の食器なのに、今でも多くの家庭で当時のオーバル皿が愛用されている。そんな特別な食器なのだから、全て丸くしちゃうのは少々もったいない。ただ、丸がダメというわけではなくて、カイピアイネンが当時デザインしたままのオリジナル、多くのフィンランド人がどこか特別な印象を抱き続けているオーバルプレートも、併せて作る事が大事だと僕は思ったのです。そして僕はオーバルを日々愛用したいし、パラティッシは特別であることも大事なのだから。まぁ、でも、そんな理想を語っても世の中は変わらない訳でして、そこを変えるには圧倒的なパワーを加える必要がある。それで1万枚オーダーする事を約束しまして、アラビアにオーバルの復刻を実現して貰った。それが2009年のこと。少しの間はスコープ限定とされていましたが、それもすぐに期間満了となり、僕らが復刻したパラティッシオーバルプレート25cmは、今や世界中で販売されています。どこのお店でも売られているわけですが、それも誰かが一歩を踏み出さなければ今はない事なのです。そういった無茶な事をする会社もそうそうないのだから、パラティッシオーバルプレートが食器の中で特別な存在であるように、インテリア業界においてスコープは常に特別な存在であり続けられるよう、今後も新しいチャレンジを続けていかないとなぁって、パラティッシオーバルプレート25cmを使う度に、心のどこかで薄っすらと思うのです。いつまでも皆さんに必要とされるお店であり、特別な存在でいられるように、これからも頑張りまぁーす。

text:シャチョウ